何事も中途半端。悩んで、立ち止まって、進めない――
自分の弱さに悩む遠藤空里は、突如、破壊の渦に放り込まれた。
絶望の中で放たれた一本の矢が、驚くべき運命を引き寄せる。
宇宙船、人猫、銀河帝国、星百合・・・
次々現れる未知の存在が、ワクワク感を刺激してくれます。
背後に控える敵も、想像を超えた恐るべき存在なのです。
多彩なSF的ギミックが、宝箱で輝く宝石だとすれば、
経糸のように、全編を貫いて行先を照らすのが、空里を護る美少年、ネープです。
冒険だけでなく、彼と、そして空里の変化も、この物語の大きな魅力です。
――遠藤空里はやめることにした。――
何をやめて、何を得るのか。
ぜひ、見届けてあげてください。
とても素晴らしい、一級品のスペースオペラです。
銀河皇帝であるゼン=ゼン・ラ二〇四世を弓で射殺してしまった、主人公の女子高生・空里(アサト)。
「銀河帝国法典」(通称、法典)では、皇帝との直接の戦闘で勝利すると、皇位継承権保有者となるという決まりがあります。
それを果たしてしまった空里は、皇位継承権保有者の第一位となってしまいます。
無論、それを快く思わない者もいます。本来、帝国領外の星での武力行使は法典で禁止されていますが、法典を度外視してまで空里を狙おうとする「ラ家」。
空里は、シェンガら人猫と、銀河皇帝の側に仕える完全人間・ネープと共に行動します。
そして、空里は銀河皇帝になることを決意します。
家族・故郷・友人、すべてを失い、更に茨の道を歩まざるを得なくなり、責任と喪失感に押しつぶされそうになる中、必ず空里を守ると宣言したネープ。
理不尽な運命に翻弄され、知識不足もあり、中々自分の意志で何ごとかを成すことができない空里ですが、必ず守ると言ってくれたネープのために自らの意志を選択し、行動するようになります。
銀河の政治的問題に巻き込まれた形になった空里ですが、皇帝となるために何を望むべきか突きつけられ、進むべき道を決めていきます。
星百合(スター・リリィ)の真実、皇冠(クラウン)の力、そして、空里が皇帝となることで起こる変化とは――?
突然、地球に襲来した、宇宙を支配する銀河帝国。色々あってその銀河皇帝を、女子高生・空里(アサト)が矢で射殺してしまいます。そして〈法典〉の定めにより、銀河皇帝継承者となってしまうのです。
そんな彼女の傍に立つのは、超絶美形の少年・ネープ。継承者となった空里を護る使命を帯びた、〈完全人間〉です。
しかし、空里が銀河皇帝となるのを良く思わない者たちがいます。空里たちは数々の妨害に立ち向かい、追手から逃げながら、目的を果たそうと奮闘するのです。
何より、この世界観が素敵!
無くてはならない〈星百合〉には童話的な印象もあって、多種多様の種族、特に仲間として随行するシェンガ(人猫)などとの相性が、とても良いのです。
登場するキャラクターたちが魅力的なのも、お薦めポイントです。主人公である空里は等身大の女子高生で、なかなか賢い女の子。窮地に陥った時など、意味もなく喚き散らしたりはしません。置かれている状況を正しく認識し、建設的に思考して動ける女の子です。そして、自分を護ってくれる完全人間の少年・ネープに対する彼女の想い。これがまた、応援したくなるのです!
矢次早に起こる様々な問題、迫りくる窮地。飽きさせない展開で、ハラハラドキドキさせてくれます。
とんでもない事態に陥って、それでもどうにか顔を上げて。
これは、細い希望を掴みながら、仲間と共に前へと進もうとする女の子の物語です。
お薦めします(^^)!
突如他星系同士の争いに巻き込まれる形で起こった戦闘のさなか、一矢報いようと放たれた矢が引き起こす壮大なスペース・オペラ。
最初から怒涛の展開で、教室から急転直下、みんな大好き宇宙系SFの世界に叩き込まれるのですが、大量の用語が出てきても何故かすらすら読めてしまうのです。
SF洋画の好きな人なら、読んでいてまさに頭に情景が浮かんでくること請け合いです。
世界観、名前の付け方、メカから種族から小道具に至るまで、SF味が大変濃くて素晴らしい!
星百合(スターリリィ)に導かれ、アサトが至る境地とは。
SF好きのあなたに是非おすすめしたい作品です。
星百合《スターリリィ》。
はあるとき忽然と宇宙のどこかに咲き現れ、星々の間に道をつくる、百合の形をした鉱物。
高校生である遠藤空里(アサト)の目の前に現れたのは、夏の空に浮かぶ宇宙船と、傷を負った人猫。
非日常に巻き込まれたアサトは、襲いかかってくる危機に報おうと、今まで培った弓で学校を襲う男を射抜いた。
「あなたは皇位を継承するか?」
なんと、アサトが射抜いたのは、銀河帝国の皇帝だった!
そのためアサトは、銀河帝国の皇位継承者となってしまう。
星百合の種を巡って、対立していた人猫のシェンガと銀河帝国。
故郷のため命をかけるミン・ガンの戦士シェンガと、皇帝の護衛である完全人間ネープ三〇三は、アサトを皇帝の後継者として認めるのだが、それゆえ彼女は命を狙われることに…
彼女の決定次第で、銀河の行方が決まる。
主人公アサトが放った一条の矢より始まる、銀河皇帝の王位をめぐる戦いを描いた重厚スペースオペラ!
ただの女子高生だったアサトの日常より始まるSF長編は、タイトルにある八月——夏の青い空を思わせる爽やかでさらりとした筆致で紡がれ、すっと頭に入り込んで頭の中に情景を作り出してくれます。
主人公アサトの他、完全人間ネープ(美少年!これ大事)ガサツな物言いでも愛嬌のある人猫シェンガ(二足歩行の猫ちゃん宇宙人とか最高!)といった魅力的なキャラが多数登場。他にもレビュアー好みの高身長女性キャラが出ていたり……彼女の活躍にも期待しています♪
緻密に作り込まれた世界観と設定、繊細な筆力で描かれる戦闘シーンにすっかり魅了されました。
宇宙SFってイイよね!ワクワクするよね!高度文明が生み出した機械の戦闘ってカッコいいよね!早く続きが読みたい!
そんな気持ちにさせてくれる作品です。
限りなく広がる宇宙に夢と希望と浪漫を抱くSFファンの皆様、是非、この作品に目を通してみてください♪
きっとこの世界に魅了されるはずです!