第32話 ついに開かれた神域の門。
異なる一対の扉が示し合された時、まさに神域への入口が開かれるであろう。暫く
チリ――ン…………。チリ――ン…………。
その怪しげな響きは、
「ごん。姉さま……この奇妙な声は、どこから聞こえてくるのだ?」
「こん。多分、湖畔の方からじゃないかしら?」
「ごん。でも、大鳥居の方には誰もいないぞ」
「こん。そうよねぇ……
「うーん、儂にも分からんのう。長年この場所を守ってきたが、こんな不思議な現象は初めてじゃ」
鈴の音と童謡の旋律が奏でられる中、辺りは不気味なほど静寂に包まれる。だが、
「ぐっ――、胸が……胸が熱い。だけど、何だろう……この懐かしい気持ちは……」
「ごん。
「こん。そうじゃないわ、
「ごん。心の中……?」
「こん。そうよ、
走馬灯のように、脳裏を過る懐かしい情景。この不思議な感覚に、
「このイメージって、なに? というよりも……あの女の子は、一体誰なの?」
「こん。――
「案ずるな、
「こん。それは、どういう意味でしょうか?」
「これは儂の推測じゃがな。おそらく……この現象は、魂同士が何らかの形で触れ合い発生したもの。心が落ち着けば、すぐにでも共鳴は解かれるじゃろう」
「こん。それなら良かった……」
「とにかく、儂の判断だけでは、これ以上のことは何も言えん。とりあえず、原因が分かるまでは、
「こん。そうですね、
「あの……さっきから気になってたんですけど。魂の触れ合い、とか? 心の共鳴、とか? あと、僕のことを見守るって、どういう状況なんですか?」
「
「ごん。なっ、なんだ……この光は?」
「こん。これは、まさか……」
「ああ、
「門が開く? でも、
予期せぬ出来事に、
「――えっ⁉ 湖が、湖が……割れて…………」
状況を呑み込めず、啞然とする一同。中でも
――それは、湖畔近くの大鳥居から対岸まで切り裂かれた道筋。その様子は、映画で海を割る有名なシーン。そう……まるで『モーセの十戒』のようであった。加えて、信じがたい状況がもう1つ。なんと、鳥居を支える両石柱の間から、光り輝く
「大鳥居の中から……扉が? これが、
ギギギィ――ィ…………。ギギギィ――ィ…………。
ゆっくりと解放されていく神々しい扉。突如として現れた神域の門は、重々しくも鈍い音を発しながら徐々に開き始めた。それはさながら、何かの存在を導き誘うような光景。この様子を目にした
〝隠れし異界の門が、今ここに開かれり。我の言霊よ、この身を以て、解き放たれん〟
「ご、ごん? 今、声が2つ聞こえたような? 聞き間違いか?」
「こん。いいえ、聞き間違いじゃないわよ。最後の言葉……明らかに、
重なり合う2種類の言葉と二つの声。
「――マズイ!
「――くっ、やはり儂では、引き止めるだけの力は…………いや、待てよ?」
「ごん。爺、何をしておる。早く
「こん。
「まてまて、二人共。慌てなくとも大丈夫じゃ。神域の門が解放されたのは、
遠ざかっていく
🌼夜叉姫~あなたが私にくれた永遠の愛~🌼 🍀みゆき🍀 @--miyuki--
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。🌼夜叉姫~あなたが私にくれた永遠の愛~🌼の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます