転生したらしりとりで全てが決まる世界でした
十八万十
第1話 林檎の死
『佐々木
突然ですが私は今、生きるか死ぬかの危機に襲われています。
このピンチを切り抜けるにはどうすればいいのか…
いかに天敵(先生)の気を逸らすか…
いざ『しりとりバトル』ッ!!
—————
「林檎ー!起きなさーい!もう朝ご飯冷めるわよー!」
下の階からママの声が聞こえる。
なんだ…夢か。
「ママとパパはもう食べ終わってて仕事行くから勝手に食べといてねー!昼ごはんは冷蔵庫の中にあるわよ〜!」
「わかった。いってらっしゃ〜い。」
…着替えるか。
中学1年生の時、国語の成績がとてもよく、私の頭がいいことに対して不満を持った人々によっていじめを受け、引きこもりに。
現在中学2年生。ネットのSNSに入り浸っていた。
「今日は…夏休みか。何しよっかな。」
そんなこんなで着替え終わり、下の階に降りていく。
朝ごはんのメニューはトーストと目玉焼きとソーセージとサラダ。
カーテン越しにうっすらと見えるどこかへ遊びに行く子供達とその話し声。
フォークを手に取り、ご飯を食べる。
夏休みだろうと私の生活は変わらず、いつも通りの日常を過ごしていた。
今、この瞬間までは。
ピンポーン
インターホンがなった。
昨晩、親に「荷物が届くと思うから来たら受け取っておいて」
と言われたから多分それだろう。
私の家のインターホンはカメラがついていなかった。
私は何も疑わずにインターホンに出た。
「はーい」
「アハハ!こいつマジで夏休みなのに引き篭もってんだ!」
「だっせぇ!」
インターホンに出たのは間違いだった。
この人たちは学校で私のことを虐めてきた男子3人組である。
「なあ佐々木!ドア開けろよ!」
「ちょっと家で話させてくれよなぁ!」
「…さようなら。」
私はボタンを再度押して話すのをやめようと思った。
私がボタンに手をかけた時だった。
「じゃあこの荷物は俺が頂いてやるよ。」
「私の母のだからやめて。」
「お前が両親が大好きなのは知ってんだよ。壊されたくなけりゃ…わかるよな?」
多分こいつらは今日来る予定だった荷物を宅配便から受け取り、脅している。
「いや、私、昨日の夜母と喧嘩したから。いらない。」
「そうか。じゃあ…この御守りはもっとビリビリになっていいんだな?」
「あっ、それは…」
私の小学校卒業式の日に、後輩の人から受け取った御守り。
それを大事に持っていたら1年生の時にあいつらに盗まれた物だ。
「なあ…開けろよ。」
「……わかった。」
開けてもどうせ酷いことをされる。そんなことはわかっていた。
ただ、私の最も大切な物をこれ以上壊される苦しみは耐え難かった。
そしてドアを開けてしまった。
「よし。じゃあ、あの荷物は凹まさないでやるよ。」
「まぁ、そのかわりに…ちょっとストレス発散させてくれよ。」
3人組は勝手に家の中に上がってきた。
「ストレス発散ってどうするの?」
私が3人のうちの1人に対して質問した。
するとその人が思いっきり顔を殴ってきた。
「こうするんだよ。勝手に話しかけてくんなゴミが。」
「もっとやってやるよ。」
私はされるがままに殴られ続けた。
「あはは!さっさとくたばれよ!」
「なんで生まれてきたんだよ!」
「私になんの恨みがあるの!」
「恨みとかじゃない。俺らがやりたいからやる。それだけだ。」
「だからなぁ…気安く話しかけんじゃねぇ!!」
ドカッ
私は3人のうちの1人に思い切り蹴られ、派手に吹き飛んだ。
そして棚の角に頭をぶつけた。
「…今日はこの辺にしておいてやるよ。」
私の意識はこの言葉を最後に途切れた。
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