あまりにも赤裸々で、でも真摯な。
- ★★★ Excellent!!!
男と男の性的な関係を描いたら、それはジャンルとしては「BL」なのか?
それは、こういった関係性の物語を読むたびに考えてしまうことだったが、この作品にはそういう逡巡を超えた赤裸々な人間の姿があった。読んでいて息苦しくなるほどに、真摯で、誠実な人間の姿であった。
誰かを傷つけたくない、でも自分のなかの「化物」がそうさせてくれない。そういうことは身に覚えがあってあまりある。この作品はそういう作中人物、またはそこから思い出される「私」の姿を鮮やかに描き出すものであった。
「化物」は誰のなかにもある。
それを確かめられ、そしてこの作品のラストにあるように、そのことを受け入れられたとき(少なくともわたしはそう受け取った)人は少しだけでも変わることができる。そして、さらにいえばBLでも、ゲイでも、ホモでも、そららのどれでもないなんんであっても、よくなる。
それはこの作品に書かれているのが、人間そのものだからである。